一般社団法人大阪代協

理事会その他の活動報告

近畿・阪神合同ブロック協議会

2024.07.29

2024年度近畿・阪神合同ブロック協議会が、7月23日(火)13時30分から、大阪市北区のグランフロント大阪(北館)ナレッジキャピタルタワー会議室で開催されました。協議会には、近畿ブロック(奈良県代協、京都代協、滋賀県代協)および阪神ブロック(大阪代協、兵庫県代協、和歌山県代協)の役員などが、また日本代協から地域担当理事の小橋信彦氏、専務理事の金澤亨氏など総勢62名が出席しました。

開催にあたり、両ブロック長が挨拶、各代協の会長がそれぞれの代協メンバーを紹介した後、小橋氏が「第3回日本代協理事会報告」を、また企画環境・教育・組織・CSR・広報の各委員がそれぞれの取組みの現状や2024年度方針等の報告を行いました。

セミナー1:金融庁有識者会議報告

休憩を挟んで行われたセミナー①では、金澤氏が「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議報告書解説」と題し講義を行いました。まず、同氏は、有識者会議が開催されるとの情報を得て、日本代協をオブザーバーとして参加させて欲しい旨の依頼を金融庁に行っていたこと、それが会議直前の3月に実現に至った経緯を報告しました。昨年損保業界はビッグモーター事件やカルテル問題が発生しましたが、その間も日本代協は現場で起きていることの情報を金融庁に提供しつつ、「日本代協は会員に対して、自社のお客様にきちんと価値提供していく、顧客本位の業務運営を行っていくことを一貫して言い続けている」ことを小田島綾子会長とともに繰り返し訴え、また、総論だけでなく、例えば、昨年大阪代協で行ったアンケート調査で得た会員の考え方や様々な取組みなどについて細かく説明している、と話しました。そして「こうした日本代協のスタンスは一定の評価を得たのではないか」とも述べました。

熱弁をふるう日本代協・金澤専務

実際に日本代協が有識者会議のオブザーバーに選ばれたことの意義について、とりわけ会議においてオブザーバーは発言できないながらも有識者会議開催前後において金融庁関係者や参加有識者との直接会話を通じて日本代協の考えを伝えることができたこと、さらに情報を得ることができたことは非常に有益であったと強調しました。そして、後日出来上がった有識者会議報告書を見て、私見と断りつつ「当方の考えが反映された部分もあるのではないか」との感触を得ていると述べました。
そして最後に、今年度損保協会でスタートした業務抜本改革プロジェクトチームにおいて、業務品質で示されている
①評価される側の保険代理店との関係者を含めて十分検討する必要があることや、
②ポイント制度については関係者と論議し検討していくことが求められるといった、
顧客本位の業務運営の観点からみた業務品質は何なのかの議論には今後注視していかなければならないと締めくくりました。

引き続き行われた各代協の取組み報告で、新谷会長はプレッシャーを感じながらも実施したアンケート調査が会員の考えを示すものとなったと評価したほか、日本代協アカデミー、人材育成、賠責セミナーの取組みを重視していると大阪代協の取組みを報告しました。

セミナー2:福岡大学・植村教授講義

セミナー②では、福岡大学教授の植村信保氏が「決算・中期計画から見えてくる各保険会社の戦略」をテーマに話しました。同氏は、まず2023年度の大手損保グループの決算概要として、株高や円安、海外保険事業の増益などにより好調で、東京海上HDとSOMPOHDの修正利益に占める海外保険事業の割合はそれぞれ5割を超えたとする一方、国内損保事業は自動車保険のC/R(コンバインドレシオ)が100%を超え、火災保険の収支は改善傾向だが保有割合増加により修正利益が振れやすくなっており、収支は厳しい状況であったと説明しました。

2023年は、いびつな取引慣行やトップラインおよびシェアの確保を最優先する企業文化からカルテル問題やビッグモーター事件が発生。この背景には経営環境が大きく変わったにもかかわらず、保険会社の経営体質や行動様式が変わっていないといったコンダクトリスク管理の失敗があると指摘しました。これらの問題から、保険会社はトップライン・シェア重視の姿勢の是正が強く求められていて、それは今年度導入される保険会社の新たな健全性規制(経済価値ベースのソルベンシー規制)の観点からも同様であることを強調しました。

そうした中、2024年6月に金融庁有識者会議の提言として「顧客本位の業務運営の徹底」
①大規模代理店に対する指導等の実効性の確保 
②代理店手数料ポイント制度の適切性確保 
③保険代理店等への過度な便宜供与等の制限
④乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保 
⑤保険代理店の兼業自体は禁止せず、弊害防止 
⑥支払管理部門の独立性確保等
が挙げられました。また、金融庁は、保険会社が「リスク」「リターン」「資本」のバランスを経営の観点からどうしたいかといった、ERM経営を深化させることを求めていると述べました。

各グループの中期経営計画を見ると、
①「損保問題」を受けた対応(いびつな取引慣行からの脱却、トップライン・シェア重視からの脱却) 
②収支改善(自動車保険および火災保険) 
③デジタル化・データ活用の取組み
といったことが共通点として注目されると説明。
保険会社とプロ代理店との関係において、第一に保険会社は国内損保事業の収支改善が急務とはいえ、当面は手数料ファンドの大幅な削減は考えにくいと説明。その一方、損保問題によって保険会社は代理店から、より一層、契約者重視の姿勢を打ち出してくるだろう、と述べました。
そうした中にあって、自立した高品質のプロ代理店の位置づけは相対的に高くなるとして、代理店としては保険会社に代理店政策のダブルスタンダード見直しを求めるチャンスでもあると強調し、講義を終えました。

最後に、政治連盟の竹村泰造副会長が同連盟の意義と今後の取組みについて説明し、17時過ぎに終了となりました。

(記事:新日本保険新聞社)

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