支部総会・2月度支部会≪行政書士が教える「相続」と「補助金」セミナー開催≫
令和7年2月26日(木)18:00より支部総会・第8回支部会を、なんば学習センター第2研修室にて19名参加で開催いたしました。
【支部総会~議事の部】
まず、本日の議長に選任された川田副支部長進行により支部総会が行われました。
・(第1号議案)2024年度 支部活動報告および会計報告
・(第2号議案)2025年度 支部活動計画(案)承認の件
・(第3号議案)2025年度 役員人事改選(案)承認の件
以上の議案が西村支部長から提議され、全て出席者全員一致で承認されました。
総会の後は理事会・委員会報告が行われ、今回も西村支部長作成の報告資料の内容を共有しました。


【勉強会の部】
続く勉強会の部は『行政書士がお伝えする、知らないと損する「相続」と「補助金」セミナー』をテーマに行いました。今回の担当は原田知彦会員と奥村顕会員。講師に、スマイル行政書士事務所より行政書士の今西和美先生をお迎えしました。今西先生は過去に大手生命保険会社に勤務されていた経歴をお持ちです。保険金支払業務、営業サポート業務に携わることで保険を活用した相続対策に興味を持たれ、ご退職後に行政書士試験に合格。司法書士事務所で相続手続き、成年後見、会社設立業務等の経験を経て平成30年に現在の事務所を開業されました。
本日は相続や仕事など、人生の節目に役立つ知識等についてお話いただきました。



(行政書士と司法書士の違い)
まず、行政書士と司法書士の業務範囲の違いについて説明されました。
【行政書士】
《官公署に提出する書類》・・ほとんどが許認可等に関するもの。その数は1万種類を超えるとも。
《権利義務に関する書類》・・主なものとしては、遺産分割協議書、贈与・売買・請負・消費賃借等の各種契約書、示談書等様々。
《事実証明に関する書類》・・実地調査に基づく各種図面類、会計帳簿、貸借対照表等の財務諸表等。
上記書類の作成とその代理、相談業務を行う。
【司法書士】
・登記、供託手続きの代理
・法務局、裁判所・検察庁に提出する書類の作成
・成年後見人、破産管財人等の業務・・等々、司法書士は法務局や裁判所関連の手続きを担当。

(“相続編①” 葬儀後の⼿続きを学ぼう)
<意外に早い!タイムリミットに要注意!!>
前述の行政書士業務の内《権利義務に関する書類作成》から、私たちにかかわりの深い例として、相続手続きの流れを説明されました。相続人調査、戸籍収集、相続財産の調査、年金手続き、遺産分割協議書の作成などたくさんの手続きがあります。

各種手続きには期限があり、負債などの明らかにマイナスな財産の相続放棄(3カ月以内)等、タイムリミットの把握は特に重要です。
相続人自ら手続きをしても良いのですが、とても煩雑なので行政書士に代行依頼することをお勧めしますとの事でした。
<相続人と相続財産の確定>
相続の第一歩として、相続人と相続財産の確定が必要です。そこで下表のような相続関係図を作成してその調査・洗い出しを行います。

相続税の計算は税理士業務の範疇になるので細部までは踏み込みませんが、基礎控除の計算方法や、相続税がかからないケース等のアドバイスを行うそうです。
<相続手続きあれこれ>

続いて相続手続きに関するポイントとして、以下の説明がありました。
◆遺産相続に必要な書類
相続手続きに必要な戸籍や住民票、印鑑証明書などの書類について説明されました。
戸籍謄本の取得には、広域交付制度が便利です(リンク)。
◆金融機関での相続手続き
『亡くなると、銀行口座はすぐに凍結されるのでは?』という質問が多いのですが、役所と銀行は繋がっているわけではないので、相続人が銀行に申し出ない限り、勝手に口座が凍結されることはありません。凍結のタイミングもアドバイスされるとの事。
◆不動産の相続登記
不動産の相続登記が令和6年3月から義務化されたことを説明(3年以内。過ぎると10万円の過料)し、早めの手続きを推奨。
<相続手続きを放置するとどうなる?>

相続手続きを放置するとどんどん相続人が増え、手続きが煩雑になってしまいます。トラブルを避けるため、遺言書の作成が重要です。
その後は相続人の範囲についてのケーススタディを行い理解を深めました。
(“相続編②” 生命保険を活用した相続対策を紹介)
生命保険は他の金融商品とは比類ないといっていいほど「相続に強い」商品です。その特徴の抜粋です。
【相続発生後すぐに現金化できる。】
故人が契約者・被保険者となって加入されていた生命保険は、指定されている
生命保険金の受取人が単独で請求ができ、早期に保険金を受け取ることができます。
【相続を放棄しても生命保険金は受け取ることができる。(※生命保険金は受取人の固有財産)】
生命保険金は、民法上の相続財産ではありません。したがって相続放棄をした場合でも、生命保険金の受取人になっていれば、保険金を受け取ることができ、ご家族の今後の生活資金を確保することができます。
【不動産など分けにくい財産が多い場合、納税・遺産分割などの資金を捻出できる】
相続財産の大部分が不動産や自社株などの分割しにくい財産だった場合でも、今ある財産とは
別に新たに生命保険金という現金で持ってきて分割することができます。
【生命保険金には非課税金額がある。】
生命保険金の場合、500万円×法定相続人の人数=非課税限度額までは「非課税財産」として、相続税は課税されません。

(“補助金編” 特徴を掴み、役立てよう)
<補助金?助成金?>
行政書士の業務として、今西先生は企業向けの補助金・助成金の申請にも携わっておられるとの事で、そのポイントをご講義いただきました。

◆補助金・・・経産省や地方自治体の管轄が主体。政策目標の達成のために使われる。給付の難易度は補助金の方が高く、事業計画書等による必要性のアピールにより採択率が変わる。
◆助成金・・・厚労省管轄が多い。企業の労働環境改善のための雇用、人材育成関連に使われる。助成金に比べて給付されやすい。
原則どちらも返済の必要はありませんが、利益等によっては返納を求められる補助金もあるので注意が必要との事です。


<もし相談を受けたら?補助金申請のポイント>
もちろん今西先生のような士業の方々に相談するのが良いのですが、その前段階でお客様から相談を
受けた際に私たちが押さえるべきポイントを教えていただきました。
◆補助金によって、「目的」や「仕組み」が異なる。
◆申請期間が限られる(1か月前後である場合が多い)。
◆早いもので2月から、概ね6月頃までに募集を開始する。
※具体的な募集期間、回数は補助金毎に異なる。
◆補助金は、必ずしも「全ての経費が交付されるわけではない」。
◆補助の採択や補助金の金額については、「審査」がある。
◆補助金は「後払い(精算払い)」であり、検査後にはじめて受け取ることができる。
◆補助金の申請、採択結果判定前に購入したものは補助の対象外。
<様々な補助金の紹介>
続いて毎年経産省から発表される補助金の紹介がありました。
◆小規模事業者持続化補助金
販路開拓を支援する補助金で、チラシやパンフレット制作が対象。賃上げにより補助金額が増加する可能性がある。
◆中小企業推進事業推進出補助
新たな事業展開を支援する補助金で、今年から新たに開始。具体的な公募開始は未定。
◆ものづくり補助金
製造業向けの補助金で、革新的な機械導入時に利用可能。事業承継やMAにも関連する。
・・・等々。これら以外にも各地方自治体等が出している補助金が数多くあるので、探してみるのも良いと述べられました(各種補助金のまとめサイトへのリンクはこちら)。
その後は質疑応答へと続き、顧客の顔を思い浮かべながらの私たちからの質問に時間いっぱいまで答えてくださいました。わかりやすく、かつ役に立つ講義をありがとうございました!早速活用していきたいと思います!
支部会の後は恒例の懇親会。ミナミへと繰り出し、美味しい料理とお酒、会話を堪能する楽しい時間を過ごしました。


来期も良い支部になるよう、皆で盛り上げていきましょう!
(記事:南支部 田中記者)