第7回支部会&セミナーを開催しました~「相続」は自分事です~
2024年11月13日(水)午後4時10分からあいおいニッセイ同和損害保険(株)堺支社会議室にて支部会とセミナーを開催し11名が参加して情報交換を行いました。
【終活セミナー】
講師に司法書士 菅原香織氏を迎え、テーマは「あなたの相続・会社の相続」について講演をいただきました。
菅原氏は、相続・承継の専門家として、個人の相続手続き、そして会社の相続問題である、事業承継、M&Aと取扱い分野は多岐に渡り活動されています。
・なぜ相続対策が必要なのか?
相続は揉め事も多く「相続」が「争族」になるケースがよくあります。「うちの家族は仲が良いから大丈夫」これは過信で、はっきりと権利主張をする時代になっています。揉め事をなくすためには相続対策が必要です。
・相続手続きの実務
手順① 相続人の調査
◆誰が法定相続人なのか戸籍から相続人を検索する
基本は被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を調査し、法定相続人を調べます。
但し、兄弟相続や数次相続(最初の相続発生後、手続き完了するまでの間に新たな相続が発生した場合)など、相続人の範囲が変化する場合は、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍を調査するケースもあります。
◆遺言書の有無の調査(法定相続人以外の相続人の調査)
公正証書遺言は、相続人からの請求があれば公証役場で開示してもらえます。
(注)相続人調査(戸籍謄本の取付等)は日数を要する場合もありますので、相続が発生した時点速やかに調査が必要です。
手順② 相続財産の調査
◆遺言書の有無の調査
公正証書の場合は相続人からの申し出があれば、全国に保管されている被相続人の遺言の有無を調べてもらえます。
また、法務局の保管制度を利用している場合、相続人の一人が法務局に対して遺言書の開示などを請求した場合、各相続人に対して遺言書の保管についての通知が発送されます。
◆金融機関の調査
被相続人の遺品の中から保険証書や通帳、金融機関からの通知や証券会社からの報告書を探し、残高証明書などの請求を行い、名寄せをしてもらうことで調査を行います。
◆負債の調査
負債は相続放棄の判断に必要となります。信用情報機関(CIC、JICC、KSCなど)に対して被相続人の負債状況の開示を行い、負の遺産を調査します。
手順③ 相続人の確定
◆相続人を確定させる
戸籍調査から法定相続人を確定します。(法定相続人の範囲やその相続分については民法に定められています)
◆法定相続分を修正する要素が存在
①相続放棄・・・申立人が相続人であることを知った日から三ヶ月以内に、家庭裁判所に申立てを行います。
申込が受理されれば、その相続人は最初から法定相続人とはならない。これによって次順位の相続人が相続権を持つことになります。
(注意)裁判所での手続きにはかなりの日数(数か月)がかかり、相続税申告期限に間に合わないケースもあるので速やかに申込をすることが必要です。
②遺言・・・遺言によって法定相続人以外の第三者に相続分を遺贈するこが可能となります。これによって相続人が変わることはないが、受領する金額などに変動が生じたり、遺留分侵害額請求の問題が生じることがあります。
③数次相続・・・被相続人の相続手続き完了前に法定相続人について新たな相続が発生した場合、法定相続人の範囲が拡大することがあります。代襲相続がこれに該当します。
手順④ 相続分の確定
◆遺産分割協議書
民法は法定相続人についてその相続分を定めています。しかし、多くの相続手続きにおいては民法のルールをそのまま適用することはなく、法定相続人全員(遺産分割協議)に基づき、その相続分を修正することになります。
◆遺言は万能か?
遺言によって法定相続人以外の第三者にもその遺産を承継することが可能となりますが、法定相続人の一部については遺留分(必ず承継することができる最低限の相続分)があり、その権利を侵害していると相続人が主張した場合はそれに相当する金額を金銭で支払う必要があります。つまり、100%遺産を一人の人に承継させるという遺言書を作成していても、遺留分の請求を受ける可能性があります。
・遺産分割協議が整わない場合
法定相続人全員での遺産分割協議が整わない場合、家庭裁判所での「遺産分割調停」を行うことになります。
遺産分割調停は民間人である調停員を仲介役とし、双方の希望や意思を述べ合意を目指す裁判所での手続きの一つ。
調停の成立は双方の合意が必須となるため、仮に民法の定めと異なる合意がなされたとしても問題はありません。
(注)裁判所に調停を申入れしてもすぐに始まらず、相続税申告期限に間に合わないケースもあります。
・相続トラブル回避のために
裁判所に持ち込まれる相続に関する調停案件は、平成12年に8,889件が令和3年13,447件あり増加傾向
にあります。
相続トラブルといえば、お金持ちの家庭だけに起こると考えられがちですが、現実的には相続財産が5,000万円以下の家庭で頻発しています。令和3年の最高裁判所の調査結果によると、遺産分割調停事件の33%が相続財産1,000万円以下、43%が1,000万円超5,000万円以下の事実です。
合計すると、相続財産が5,000万円以下の案件が、全体の76%を占めています。
◆資産の把握と整理
自分が所有する不動産、預金、株式、債券などの資産をすべては把握し、整理しておくことが大切です。通帳のない預金口座、デジタル資産、負債など家族が知らないと手続きができないことや相続税の申告から漏れることがあります。また相続財産には負債も含まれることにも注意が必要です。
(注)デジタル資産でスマホやパソコンを利用するのでスマホやパソコンのセキュリティパスワードも家族に知らせておくことも必要です。
◆自分の相続人を知っておく
自分または家族に相続が起こった際に、誰が相続人になるのかを知っておくことは大切です。
誰が相続人になるのかを知っていれば、誰にどの資産を引き継いでもらうのか、遺言書が必要なのか自分で判断することができ相続後のトラブルを防ぐことができます。
◆遺言書の作成
遺言書を作成することで、自分の意思を明確に伝え、相続財産の分配方法を決定することができます。
特に、法定相続人以外に財産を譲渡したい場合や、子どものいないご夫婦、お一人さまなどは遺言書を作成しておくことが重要です。法務省の調査によると、55歳以上で自筆証書遺言を作成したことのある人は3.7%、公正証書遺言を作成したことのある人は3.1%となっています。年代別にみると、年齢が上がるほど遺言書を作成している人の割合が高く、75歳以上で自筆証書遺言を作成したことのある人は6.4%、公正証書遺言を作成したことのある人は5.0%となっています。
◆遺言書の役割
遺言は、亡くなった後の財産をどのように分配するかを定める法的文書です。
家族や親族、友人などに財産を譲渡したり、寄付したりすることができます。
①法的効力・・・法律で定められた形式に従って作成された遺言書には法的な効力があり、不動産の名義の書き換えや銀行手続をスムーズに行うことができます。
②財産の分配・・・遺言は、財産の分配方法を明確に定めることで、相続トラブルを防ぐことができます。
③保管の安全性・・・公正証書による遺言や、法務局保管制度を利用した場合は紛失や盗難、破損などのリスクがありません。
・会社の相続
◆企業を取り巻く現状
2020年の社長の平均年齢は60.1歳(前年比+0.2歳)と、調査を開始した1990年以降初めて60歳を超え、過去最高を更新した。年代別の割合をみると、「60代」が構成比27.3%を占め最多、「50代」が同26.9%、「70代」が同20.3%で続きます。
上場企業社長の平均年齢は58.7歳(前年比±0.0歳)、年代別では「60代」が構成比43.3%を占め最多となりました。
日本の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳で健康寿命は、男性72.68歳(8.73年)、女性75.38歳(12.06年)になっています。
◆中小企業・小規模事業者の事業承継は緊急の課題です
2025年までに、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定です。現状を放置すると、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、2025年までの累計で約650万人の雇用、役22兆円のGDPが失われる可能性があり、第三者承継のニーズが顕在化する経営者は今後一気に増大する可能性があります。
承継方法は次の3つがあります
◆親族承継
メリット :内外的に受け入れやすく、自社株式を相続により承継できる。
デメリット:業界の先行きや、後継者の能力不足によって「継がせる不幸」の可能性があり、後継者以外の相続人とのバランスがよくない。
◆従業員承継
メリット :会社の事業を把握していること、実績、安心感がある。
デメリット:資力がないことから、自社株式の買取に借入を要し、借入金の際に経営者としての個人補償を要する。
◆M&A
メリット :広範囲から的確な後継者を見出せ、売却代金を得ることができる。
デメリット:好条件の買い手が見つかるとは限らない。経営者からの完全脱却の可能性があり、仲介手数料の報酬負担が発生する。
・本日のまとめ
「相続」は自分事です
◆ 自分の資産の行く末については、相続人任せにせずキチンと考えてその道筋をつけておく必要がある時代です。
◆ 相続は他人事ではありません。
◆ 相続対策(保険の活用・生前贈与・民事信託遺言書の作成など)は早めに検討して取り入れるようにしましょう。
◆ ご自身の資産について、相続についての考えについては家族に話しておくことで争族を防ぐことができます。
【理事会報告】
庫内支部長より11月7日開催の理事会報告が行われました。
・審議事項
①2025年新春オープンセミナー概要
②サイバーセキュリティお助け隊セミナー概要
詳細は、下記のリンクをご参照下さい。⇒11月理事会報告リンク入り口
【各委員会報告】
・組織委員会 11月1日開催(門口委員より報告)
新入会員オリエンテーションの実施 → 堺支部は新入会員4店があり早急に実施したい。
・教育委員 11月1日開催(山本委員より報告)
①コンサルティングコース受講者募集目標数について → 募集期間は12月1日から2月14日まで、堺支部目標8名です。早期に達成できるようご協力お願いします。
②日本代恊アカデミー推進について → アカデミーの受講はなぜ必要なのか?(大阪代協HP参照)を理解していただき、社員教育の向上に役立てていただきたい。
・CSR委員会 11月6日開催(大西副支部長より報告)
①防災士資格取得について→養成講座開催先の紹介
②ぼうさい探検隊 → 各支部エントリー状況と完了実績報告
③大阪マラソン“クリーンUP”作戦について → 令和7年2月8日(土)に参加します。(参加者募集中)
【情報提供】
大阪代協提携事業の株式会社イチネン(自動車リース業者)の吉川亮太 氏と守屋亜美氏より事業内容の説明がありました。
①販売代理店制度・・・年間の目標台数が設定され、販売台数の増加に伴い手数料も増加する。
②紹介店制度 ・・・年間の目標台数の設定はないので手間無く気軽に取り組める。
手数料は新規契約一台につき20,000円です。
代理店収益アップとお客様への情報提供として是非ご活用下さい。
【今後の予定】
12月7日(土)17時30分より堺支部の忘年会を開催します。
場所:大阪MANMARU 堺東駅前店 (2階 貸切)
堺市堺区中瓦町 2-3-20 TEL072-248-6735
会 費:5000円
皆様のご参加をお待ちしております。
(記事:堺支部 大谷記者)