一般社団法人大阪代協

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新春オープンセミナー開催<激動の2025年を展望する>

2025.01.29

 組織委員会(守屋仁志委員長)は、2025年1月24日(金)15時から、大阪代協事務局で「激動の2025年を展望する」新春オープンセミナーをハイブリッド方式で開催、保険会社社員を含む約400名が聴講しました。講師は、日本代協専務理事の金澤亨氏です。

※挨拶をする新谷会長(中央映像)、金澤専務理事(右)

会長挨拶

 セミナーの開催に先立ち、新谷香代子会長が「2年前、損害保険業界を大きく揺るがした事件は昨年、その立て直しに向け損保業界全体で様々な論議が行われました。金融庁による有識者会議、金融審議会WG、損保協会による代理店業務品質評価に関する第三者検討会が昨年12月に終了し、今まさにこれらの実践に向けた準備が進んでいるところです。
 代理店の中にはもともと保険会社が起こした事件なのにどうして代理店が対応を迫られるのか、と考えられる方も多いかもしれません。変化を求められるのは代理店だけではなく、金融庁から処分を受けた保険会社も当然に業務改善計画が厳しくモニタリングされています。保険業界全体で今一度お客さまのためにいかにあるべきなのかを見つめ直す非常に重要な時期だとお考え下さい。
 このことを踏まえて、昨年論議され、決まったことは私たち代理店にどのような影響があるのか、どこを目指して進むべきなのかをしっかり整理し、正しく理解することが必要です。損害保険業界は今かつてない変革が求められています。保険会社はお客さまの利益を最優先に本気で取り組んでいただきたい。代理店も本気で業務品質の向上に取り組みましょう。本日のセミナーを聴いて、進む方向性を明確にし、業界全体で本当の顧客本位の業務運営を実現させましょう」と挨拶しました。

セミナー概要

金融庁との関係構築

 金澤氏は「金融審WG・第三者検討会を踏まえた今後の代理店のあり方」をテーマに講演を行いました。同氏は、昨年3月から開催された『損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議』(金融庁)、9月から開催の『金融審議会 損害保険業等に関する制度等WG』(金融庁)、同じく9月からの『代理店業務品質評価に関する第三者検討会』(損保協会)のいずれにもオブザーバーとして参加した、その経験談を話しました。
 まず、金融庁と付き合うにあたっては属人的に傾注するのではなく、日本代協と金融庁という組織間での信頼関係を築くことに注力したと述べました。同氏は、日本代協の取組みと、問題となった損保業界の不祥事件に対し、代理店、日本代協が考えていることを当局に説明。また、一昨年8月に小田島会長が会員向けに出した「BMやカルテル問題は業界の信頼を揺るがす行為であり、日本代協は損保会社の取組みを見ているが、代協会員はお客様にきちんと価値提供していくことが大事だと考えている」というコメントについて当局に詳細に説明するなど、日本代協のスタンスを示すことで一定の評価を得ているのではないか、と話しました。

※熱く語る金澤専務理事

損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議

 『有識者会議』でオブザーブとして呼ばれたことについて、日本代協はプロ代理店のみの組織ではなく多岐にわたるチャネル代理店を会員に抱えているとの説明が要因になったのではないかと振り返り、実際に企業内代理店に関しての質問は代理店手数料ポイントとともに多くあったと述べました。毎回の開催時には多くの有識者の方々と会話ができたことは、日本代協を理解してもらう上でオブザーブとして参加する意味を実感したと述べました。また、比較推奨の話題が取り上げられた際には、洲崎座長が「とくに今回、小規模代理店は別に何か悪いことをしたわけでなく、大規模乗合代理店のとばっちりみたいな感じで規律が強化されることがあった場合に果たしてそれでよいのか、私はかなり気になっています。とくにこれまでまっとうな仕事をしてきた小規模代理店の負担が大きくならないようにすることも考えた方がいいのではないかと私は感じます」と話されたことに感謝するとともに、逆に私たちはしっかりと取り組まなければならないことを痛感したと話しました。

金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」 

 9月からスタートした『金融審議会WG』は有識者会議の報告書を踏まえ行われたもので、オンラインでのオブザーブ参加となりましたが、直接意見する機会を得ました。多岐にわたる課題について論議され、とくに4回目、5回目では代理店の実務に関することが取り上げられ、まともな代理店への過剰な規制への懸念する意見も数多くあったと報告しました。そして、この会議を通じて、団体としての見識が見られていることを感じているとも述べ、最終のWGでは「私たちの団体では中小の代理店が会員の多くを占めております。今回起きた問題とはまったく別世界にいて真面目に仕事をしている会員が多くいますが、報告書の終わりに書かれていることを私たちとしても主体的に受け止め、体制整備の高度化、顧客本位の業務運営、お客様と直接接点を持つ者としてしっかりやっていきたいと思います」という話を伝えたと述べました。

代理店業務品質評価に関する第三者検討会

 損保協会の『代理店業務品質に関する第三者検討会』では、代理店よりむしろ保険会社の問題として意識してほしい旨の付帯意見が多く出されていることを強調しつつ、保険会社も代理店も顧客本位の業務運営の原則が意図するところをしっかり認識して取り組むことが必要だと述べました。

めざすべき方向性

 休憩後、同氏は東京海上日動からT&N保険サービス㈱の代表取締役社長として出向していたときの取組みを交えつつ、「保険代理店に求められる業務品質・サービス品質とは何か」について解説。
まず、体制整備義務やPDCAサイクル、ガバナンス等も大事だが、これだけでお客さまが代理店を選ぶだろうか?と疑問を投げかけました。代理店は、顧客本位の業務運営を貫くことが必要で、それを貫けばお客さまから「ありがとう」の言葉が返ってくる。この様々な「ありがとう」を追求し続けることが、顧客本位の業務運営を貫くことであると強調しました。
 そして、代理店経営者は、社員がお客さまから「ありがとう」と言ってもらえる環境を整えることが仕事であり、その経験をした社員は徐々に自発的に考え、行動するようになると述べました。ただ、代理店経営者として「顧客本位の業務運営の結果として売上げや利益の向上には絶対的なこだわりを持つことが大切」で、顧客本位の業務運営の原則が示すとおり、「顧客の最善の利益を図ることにより、自らの安定した顧客基盤と収益の確保につなげていくことを目指すべきである」と強調しました。

 そして最後に、同氏は損保業界の顧客本位の業務運営は代理店の双肩にかかっているとし、代理店の仕事は決してAIにとって代わられるものではなく、〝未来に残る仕事〟であると締めくくりました。

(記事:新日本保険新聞社)

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